面白い小説おすすめランキング50を紹介したいと思います。
私は三度の飯より小説が大好きという本の虫です(笑)
ジャンルは何でも読みます
・恋愛
・ミステリー
・SF
・ホラー
・歴史
・時代
・海外
・ホラー
そんな本好きの私がジャンルを無視してとにかく面白いおすすめ小説を厳選!
めちゃくちゃ熱いくて面白い小説をぜひあなたも読んでください!
ランキングの順位関係なく、どの順位の本もめちゃくちゃ面白いので、どれもおすすめです。
目次
面白い小説おすすめランキング100
それでは、早速100位からランキング形式で紹介します。
さっさと1位が知りたいという人は上の目次の好きなところを押してもらえれば飛べます。
面白い小説おすすめランキング 81~90位
89位 三国志/吉川英治
後漢末期に活躍した武将達の人間模様を描いた作品ですが、中でも諸葛亮孔明が劉備玄徳の家臣になってからの話は読みごたえ抜群です。
特に印象に残ったシーンは戦いに敗れた劉備が孔明に対して遺した遺言で、その場面の情景が目に浮かぶほどリアリティーがあります。
劉備が亡くなってからの孔明はかなり苦戦を強いられて行くので読むのが辛くなってしまうこともありますが、その点も含めて是非最後まで読んで欲しいと思える内容となっています。
88位 坂の上の雲/司馬遼太郎
日露戦争に関することを中心に描いた小説なのですが、主人公である秋山好古の心情が手に取るように分かり何度読んでもドキドキさせてくれます。
戦闘シーンも確かにあるのですが日本の歴史においてはそれは避けては通れないことなので、先人達の苦悩を知る上でも一度は読んだ方が良い小説ではないかと思っています。
87位 バッテリー/あさのあつこ
中学の入学を前に岡山県の田舎へ引っ越ししてきた、天才ピッチャー原田巧。野球に夢中なことと、天才肌なゆえデリケートになってしまているからか、家族とのかかわりどこかぎこちない。そんなとき、少年野球上がりのキャッチャー豪と出会う。新しい場所での新しい出会い、そして野球を通して巧は変わっていく。
読んで野球、まだ読んでも野球をしているという物語ではない、スポーツ青春でもない、ただの友情物語とも違う。タイトルの通り、ピッチャーとキャッキャーの物語。児童文学なのに大人も楽しめる小説です。
86位 国境/黒川博行
全作「疫病神」シリーズの2作目に当たります。全作でもコンピを組んだ建設コンサルタントの二宮と暴力団幹部の桑原が、お金を持ったまま連絡の途絶えた趙成根を追って北朝鮮へ向かいます。そこで繰り広げられるドタバタな追跡劇は、筆者の念入りな取材や調査が活きたものとなっています。
まず、近くて遠い北朝鮮に関する描写がフィクションだからこそ可能なのだろうと思うほどリアルです。軽妙な大阪弁のやり取りが持ち味の2人ですらシリアスになってしまう北朝鮮行き。合法的に北朝鮮の目的の場所まで行くことはできません。そこで、桑原がお得意の「突破作戦」で入国し、その後も突き進みます。二宮は振り回されながらもサポートする役割を担うことになるわけです。2人が趙成根を追跡の道中で見る北朝鮮の光景とその感想を率直に会話にする2人のやり取りは、ノンフィクション作品よりもある意味リアルなのではないかと思える作品です。
85位 タイム・ラッシュ―天命探偵真田省吾/神永学
育ての親である山縣が経営するファミリー調査サービスで働く両親を亡くした真田省吾のもとに不可思議な依頼が舞いこみます。死を予見する夢を見るという脚が不自由で車椅子生活をおっ来る社長令嬢の中西志乃。彼女が見た予知夢で起こる人の死を防ぐことが依頼内容でした。調査サービスのメンバーは半信半疑で調査に乗り出し、その夢の規則性に気がつきます。
これまで100%の確率で当たってしまってきた予知された人の死を防ごうと全力で駆け巡る真田。今まで見てきた夢と防げなかった経緯から諦めがちな志乃。過去の事故から歩けなくなったこともあり、悲観的だった志乃が前向きにならざるを得ない真田のパワーが魅力です。その他調査会社のメンバーも個性的で、謎解きの要素だけでなくテンポの良い会話も魅力ある1冊です。
84位 ウェルカムホーム/鷺沢萠
「普通とは違う」家族の話2話で構成されています。1話目は、真逆な性格の親友同士2人が同居するようになった経緯と新しい家族の形が描かれています。適当に生きてきたツケがまわってきて日々の生活に苦労する毅と真面目に生活していたのにシングルファーザーになってしまった英弘。住む場所もない毅と子育てをしながら仕事をする英弘は一緒に住み始めます。
その中でそれぞれが気づく家族の形や生き方の多様性が描かれていく様子は、「これぞ、鷺沢萠の世界」です。彼女が描き続けてきた「どうしようもないことや、やりきれないことの中で見つける幸せ」に感動します。
83位 ルームメイト/今邑彩
映画化もされた作品ですが、原作は映画とは全く異なります。
原作では主人公が二重人格どころか多重人格者と設定されていて、各人格目線で描かれているのでついつい引き込まれてしまいます。
特に、最後のシーンは読者それぞれに「実はこうだったんじゃないのか?」と可能性を想像させることで楽しませてくれます。
82位 ツナグ/辻村深月
生きている人と死んでいる人を引き合わせることができる使者(ツナグ)が主人公。生者も死者もお互いに会える人は一人だけ。一度のチャンス。そんな一度のチャンスを使ってでも会いたい人に会える奇跡に泣けてしまいます。
待ち人の心得ではいなくなった婚約者のキラリに会いたいと望む男性が、会いたいけれどツナグに依頼して会えてしまったらキラリは死んでしまっているという現実にぶつからなければいけない苦しみが伝わってきて切なくなりました。大切な人がいる人に読んでもらいたい小説だなと思います。
81位 ジョーカー・ゲーム/柳広司
昭和12年秋、日本帝国陸軍に秘密裏に設立されたスパイ組織、通称”D機関”。このD機関の長である結城中佐の指揮の下、世界各地で諜報活動をする昭和初期の若く優秀なスパイたちの物語です。亀梨和也主演で実写映画化、TVアニメ化もしています。一冊の本に上記の設定で主人公の違う様々な短編が収められています。
各短編の舞台は日本だったりヨーロッパだったり、満州だったりと様々でものによっては最後まで誰がスパイか断定することのできないものも存在します。物語の主人公もスパイ本人のこともあれば、そのスパイを追う他国の情報機関の人間だったり、憲兵の者だったり様々でそこが面白いところだと思います。時代背景の描かれ方もすごく丁寧でその世界に吸い込まれる感覚があります。最高の本格スパイミステリーだと思います。
面白い小説おすすめランキング 71~80位
80位 心霊探偵八雲1赤い瞳は知っている/神永学
生まれつき赤い左目で死者の魂が見える斎藤八雲がトラブルメーカーの小沢晴香との出会いで次々と事件に巻き込まれていくミステリー小説。
複雑な人間関係に非現実な幽霊の存在までも絡む事件の全容は読むまで誰も予測できません。試事件を解決する度に変化する恋の行方も見逃せない!
79位 暗いところで待ち合わせ/乙一
視力を失った女性が暮らす家に殺人の容疑を掛けられた男が忍び込み、隠れ住む。そこから奇妙な同居生活が始まることに。
初めはこの状況、怖すぎ。と思いながら読み進めていくと、いつの間にか、温かい気持ちになれる作品。読む前と読んだ後で印象が逆転する魔法にかかります。
78位 下流の宴/林真理子
林真理子が鋭い観点から学歴に異常にこだわる母親の様子、冷めた一家の物語を描いた作品です。ドラマ化されたときはの黒木瞳が熱演していましたが、母親のイメージにぴったりでした。
大学進学問題は多くの家が抱える問題です。エンターテイメント作品ですから、ここまでのことはありえないと面白く読み進めるとともに、親としても自分の子供の進路に対する希望や、子供の考えとの違いがあったらどうするのがいいのかなど色々考えさせられました。
とにかく、最後のどんでん返しも含めて面白い作品です。
77位 永遠の途中/唯川恵
同期入社だった薫と乃梨子。ささやかな恋愛の駆け引きの後、薫は結婚し、専業主婦になり、乃梨子は独身でキャリアを積み続けます。対照的な人生を歩むことになった2人は、相手の生き方を羨みながら人生を歩んでいきます。
女性なら誰もが考えたことがあるであろうテーマ。結婚か仕事か。結婚しても仕事を続ける女性が多くなっているからこそ、結婚して仕事を辞めている専業主婦、結婚せずに仕事や恋愛を楽しんでいる独身女性、どちらの手に入らなかった人生も羨んでしまう女性は多いのではないでしょうか。
対照的な人生を選んだ2人の人生を追った小説に、自分の人生を重ねつつ、最期はどちらが幸せなのか、夢中で読みふけってしまいました。
76位 「旗本絵師描留め帳」シリーズ/小笠原京
主人公は旗本の三男である藤村新三郎が下絵師をしながら 小僧の四郎吉と借家住まいをしています。手裏剣の腕は立つ、さらに人目を引く伊達者の新三郎が身近に起きる事件を人情味豊かに解決していきます。
シリーズ作品で、1冊中に何本かお話が収録されてますが どの話も小気味良く、軽快なテンポで新三郎が活躍していく様は とても爽快でアッという間に読み終わります。
75位 秘密/東野圭吾
幸せだった3人家族にあり得ない出来事が起きました。スキー場行きのバスを利用し実家に帰る途中でバスが崖から落ち大事故が起こるのです。その時を境に娘と母の心と体が入れ替わってしまいます。
母親の体は死んでしまいますが、娘の体をした母、母の心で生きる娘という信じがたい事実に向き合う父と娘の生活が始まるのです。妻を無くした夫の心は複雑で、だけど娘の体をした妻がいる、妻として接するのか娘としてみるのか、夫は長年に渡って自問自答しながら娘を育てていくのですが、最後娘は事故を起こした運転手の子供と出会い結婚するのです。
事故で妻を一度亡くし、最後に妻を加害者の子供に取られた時の夫の気持ちを思うと、どうしようもなく切なくなり泣けてきます。それぞれの気持ちがよくわかるお話で是非読んで欲しい本の1つです。
74位 イノセント・デイズ/早見和真
確定死刑囚は、なぜかどこか不思議な雰囲気をまとっていて、なぜ双子の子供とその妻を殺したのかが彼女の生い立ちや周囲から明らかになってくるストーリーです。
おススメポイントとしては、不思議とこの死刑囚がどうしてこんな恐ろしい犯罪をしてしまったのかというところにあります。
彼女を知るうちに、彼女が本当に罪を犯す人なのかと考えさせられます。
73位 夢をかなえるゾウ/水野敬也
主人公が朝目覚めると、インドのゾウの神様ガネーシャが。しかも、関西弁を話します。「数々の偉人たちは、自分の助言によって功績を残した」という、ガネーシャ。ビックになることを夢見て、ガネーシャに助言を求める主人公。夢をかなえるためにはどうしたらいいのか。主人公とガネーシャの、不思議な共同生活がはじまります。
出だしから、関西弁を話すゾウに、正直「なんだこれ。」と思いました。しかし、読めば読むほど面白い。というか、今までの自分のこと、今の自分のこと、これからの自分のこと、いろいろと考えさせられました。日々の生活に追われ、目の前にあることをこなして過ぎていく毎日において、考えるきっかけとなりました。特に20代から30代の方にはひびく一冊だと思います。
72位 氷菓/米澤穂信
省エネ主義を掲げ、やらなくても良いことはやらない。やらなければならないことは手短に」を信条とする主人公が、好奇心旺盛で何にでも積極的に関わっていくヒロインによって様々な事件に巻き込まれていく日常系推理小説です。
物語に登場する事件が殺人事件などではなく、なぜ部屋に閉じ込められてしまったのかなどの日常で発生した問題に対するものであり、重苦しくない推理小説としての魅力があります。
71位 沈まぬ太陽/山崎豊子
映画・ドラマ化された山崎豊子さんの沈まぬ太陽は超おすすめ。
日本を代表する航空会社の労働組合の委員長である恩地氏が主人公。
労働とは何か、働く上で何が大切かを考えさせられる面白い小説。
恩地は、左遷によってアフリカへ行きます。
そんな中でも腐ることなく自分の信念を貫く姿は最高!!
私が涙したのは飛行機が御巣鷹山に墜落し、その遺族との対応を先頭にたって対応している恩地の姿でした。
会社の一つのコマにしか過ぎない社員がここまで相手の立場にたって対応する素晴らしさは、気持ちが良いものです。
「沈まぬ太陽」とは、恩地の考え、努力の素晴らしさを物語っています。
最近話題になっている働き方改革にも関係するので読んでいない方は必見のおすすめ小説です。
面白い小説おすすめランキング 61~70位
70位 ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾
過去と未来を繋ぐ不思議な物語。
たくさんの人の様々な思いが交錯し、やがて小さな奇蹟をもたらす心温まります。
私は特に3人の少年に感情移入してしまい、最初はちょっと生意気な子供なのかなと思っていましたが、全ての謎が解けたとき思わず涙してしまいました。
人を信じてみる、思いやりの心を持つことで生まれるものがある。
毎日を大切に生きよう
と思える作品です。
69位 スカーレットウィザード/茅田砂胡
宇宙を旅するケリーに大財閥の娘ジャスミンが恋をして結婚するお話。
単純な恋愛ドラマかと思いきや、ジャスミンはお嬢様らしくは全然ありません(笑)
銃をぶっ放したり、殴るは蹴るはの大暴れをします。
最初はケリーもジャスミンに借りを返すという理由だけで付き合っていましたが、だんだんジャスミンに惹かれていくのです。
最初は
「あんな女好きなわけねぇ。」
と言っていたケリーが
「あんな女と結婚できるのは宇宙広しといえど、俺だけだろうよ。」
と言うようになってからは
こんな夫婦っていいな
と思えていく心がほっこりする小説です。
68位 君の膵臓をたべたい/住野よる
膵臓の病を患い寿命を宣告されながらも、周りに隠し明るく生きようとする桜良と、その事実をたまたま知ってしまうクラスメイト春樹が共に過ごした青春の物語です。
桜良は、自分が人よりも早く死ぬことが分かっているにも関わらず、春樹の前ではその事を何ともないように明るく振る舞います。
その2人の掛け合いは、とてもセンスに溢れていて面白いです。
病気と向き合い、精一杯生きる桜良を見て、生きる意味や、日々の幸せをもう一度見つめ直せる内容です。
毎日がつまらないという人に読んでほしいおすすめ小説。
67位 平成記/青山繁晴
著者の青山繁晴氏が共同通信社の記者だったころ、昭和天皇が亡くなった時代が舞台です。
年号が昭和から何という年号に変わるのかをすっぱ抜くために重ねた、現場取材とプロセスをフィクションも交えてスリリングに描いた超面白い小説。
現場の緊張感と臨場感がある小説で読んでいて自分が取材に加わっているかのような体験ができました。
自分ならどうやって情報を仕入れるか、どのように動くか、想像力を膨らませながら読むことができるおすすめ小説です。
66位 ちょっと今から仕事やめてくる/北川恵海
印刷会社に勤めている主人公、青山隆は仕事でパワハラをうけ、残業の毎日。
ほぼ仕事漬けで自由がない生活に嫌気がさし、とうとう駅のホームで自殺しようとします。
しかし、小学生の同級生だと名乗る男「ヤマモト」に救われるのです。
ヤマモトと仲良くなり仕事の相談にのってもらったりと、次第に生活に活気がでてきますが、ある日フェイスブックをみてみると「ヤマモト」という人物は実在していませんでした!!!
普段小説を読まない私なのですが、話もスラスラ読みやすく、わかりやすいです。
仕事をしたことのある人なら青山の気持ちに共感できる場面や心情がたくさんあると思います。
日曜の夜になると体調が悪くなるサザエさんシンドロームの話は「わかるわかる!」と気持ちを重ね合わせて読んでいました。
仕事で辛いとき、人生嫌になって死にたくなったとき、この本を手にとってみて見てください。
ひとりじゃないんだよと最後は気づかせられ、勇気ずけさせられます。
65位 大きな音が聞こえるか/坂木司
サーフィンが大好きな男子高校生が、
アマゾン川の自然現象ポロロッカの波でサーフィンをする
というクレイジーと思われてしまうようなとてつもない夢を抱き、夢を叶えるまでの青春感動物語です。
のほほんと過ごしていた主人公が、いつものようにサーフィンをしていた時に、”終わらない波”の存在を教えてもらいます。
それがきっかけとなり、夢を叶えるためにお金を貯めるため、なれないバイトをしたり、飛行機の手配や現地での助っ人となる親戚に相談したり、
現地では船に乗せてもらった仲間との衝突などなど少年から大人の男へと成長していく姿に、ワクワク・ドキドキさせられます。
自分の忘れかけていた夢を思い出させてくれて、
もう一度チャレンジしよう
と一歩踏み出す勇気を与えてくれる面白い小説です。
64位 窓際のトットちゃん/黒柳徹子
主人公のトットちゃんは小学1年生。
ある日トットちゃんのお母さんは小学校の先生に呼び出されて、担任の先生からトットちゃんの学校での様子を話し、トットちゃんはなんと小学校1年生で、退学になってしまうのです。
そこで、新しい学校、トモエ学園に出会い、行ってみるというストーリー。
言わずと知れた女優の黒柳徹子さんの、実体験にもとづくお話です。
とても自由な発想を持つトットちゃんに引き込まれ、どんどん読み進めます。
その楽しい学園生活にも次第に戦争の影が忍び寄るのです。
63位 さよならの手口/若竹七海
葉村晶は探偵としては優秀だが、さまざまな不幸がつきまといます。
そんな中バイト先でもアクシデントが起き、入院する羽目になりますが、そこで仕事を依頼されることに。
探偵としての血が騒ぎ、二十年前に家出した娘を探すことになる晶ですが、次々と襲い掛かる不運に苦しめられます。
前作から10年ぶりに出版された晶シリーズですが、不運度が各段にアップ!!
自分でも嫌気がさしているのに、謎があると危険だと思いながらも、足が動いているところが、カッコイイから、また読みたくなるのです。
ミステリーや謎解き小説が好きな方におすすめ。
62位 天の瞳/灰谷健次郎
小説家の灰谷健次郎さんが書く青春成長ストーリー。
主人公の倫太郎など登場する人物がイキイキと魅力的に描かれています。
夢中になって一気に読んでしまいました。
関西弁のおばさまなど、人間らしさにあふれた登場人物が魅力的。
61位 二つの祖国/山崎豊子
太平洋戦争末期、アメリカに住む日系人は敵だとして強制収容所に入れられました。
日本語も得意だった日系2世である主人公は、アメリカ兵として日本軍との戦いの前線に派兵されます。終戦後は、その語学力を買われ、東京裁判のモニターとして重宝されることに。
しかし、自分は、アメリカ人なのか日本人なのか、”二つの祖国”の間で揺れ、惑い、翻弄される史実に基づいた最高に面白い小説です。
戦争を語るときに、「アメリカに住む日系人が収容所に入れられた」ということはあまり知られていないと思います。祖国に対する思いは人それぞれ、当時の人々の苦悩がとてもよく伝わってくるでしょう。
語学兵として戦地に赴き、降参を呼びかける日本兵に実弟がいたというシーンは、主人公の苦悩がとても伝わってきます。最後は悲劇的に終わるのですが、絶望にとらわれず生きて欲しかったと願わずにはいられませんでした。
面白い小説おすすめランキング 51~60位
60位 キッチン/吉本ばなな
両親は若くして亡くなり、大学生の時に祖母も亡くして、天涯孤独になってしまった桜井みかげ。彼女は、祖母と仲が良かった一つ年下の田辺雄一と出会います。
彼と彼の母親の家に同居することになり、祖母が死んだ悲しみと孤独を少しずつ癒していくみかげですが、ある日雄一の母親が殺されてしまい、、、
誰もが体験する身近な人の「死」がテーマになった作品で、共感できる言葉や名言がすごく多いです。
ひとりぼっちになってしまったみかげと雄一が、馴れ合いでも同情でもなくただ一緒にいて共に支え合う姿に、いつ読んでも心がぎゅっとなる、不朽の名作です。
59位 春の雪―豊饒の海・第一巻/三島 由紀夫
大正時代を舞台に、華族の家に生まれて幼馴染みとして育った清顕と聡子の恋模様を描いた作品です。
学習院に通う清顕はプライドが高く、年上の聡子を愛していると素直に言えません。ある時聡子に皇族との縁談が持ち込まれ、清顕は焦ります。
二人が人力車の幌の中でキスをしたり夜の小舟で結ばれるシーンの筆致が美しくて、夢見心地にさせられる事でしょう。
尼になり過去を振り切った聡子の気高さと、愛に殉じようともがく清顕の幼さの対比が見事です。二人の悲恋の幕引きが胸を打つ恋愛小説です。
58位 寄居虫女(ヤドカリオンナ)/櫛木 理宇
大切にしていた息子を亡くした主婦が、ある日息子と同じ名前の少年を家に招きいれます。しかし、そこから家族を恐怖のどん底に陥れる、寄生女の乗っ取りが始まるのです。
次第にお互いを見張り監視し陥れ、家族という小さな世界が、異質な者によって崩壊していく様が、とても恐ろしいです。
特に、ヤドカリ女の能面の様に塗りたくった出で立ちの異様さの描写された登場シーンが、読んでいて鳥肌のたつ気味の悪さでした。
ホラーではない、人間心理の恐怖を味わいたい方に、お勧めしたいおすすめ小説です。
57位 ドミノ/恩田陸
東京駅を舞台にした、いわゆる群集劇です。
それぞれの小さな出来事が少しずつ重なって大きな事件となり、登場人物たちのバラバラだった人生がドミノのように繋がるのですが、この作品の凄さはその規模なんです!
なんと、登場人物は27人と1匹!
これだけの人物(生物)の人生が、読み進めていくうちに、結びつき繋がっていく様は圧巻です。
読み終えた時、とてつもない爽快感を感じることが出来ると思います。
小説の冒頭に載せてある登場人物紹介がとっても役に立つおすすめ小説です。笑
56位 十二国記/小野不由美
12の国で構成される架空の世界で、登場人物たちが困難に立ち向かい、もがきながら精神的に成長していく小野不由美の小説。
国ごとに物語がありそれぞれ主人公が変わってきますが、中でも特筆すべきは、普通のどこにでもいるような女子高生から国を治める王となった陽子です。
彼女は王座につくまでに色々な葛藤を乗り越えていきますが、その様が実に清々しく読んでいる側に勇気を与えます。シリーズは未だ完結しておらず、先が気になるばかりです。原作に忠実にアニメ化もされていますのでそちらも必見です。
55位 氷菓/米澤穂信
省エネな男子高校生・折木奉太郎が成り行きで所属することになった古典部の面々と様々な謎を解きながら『氷菓』という文集の謎に迫っていく青春ミステリ小説です。
この小説の魅力はキャラクターにあります。
主人公の奉太郎はもちろんのこと、古典部の面々は全員が魅力的ですが私は特にヒロインの千反田えるが好きです。
彼女は好奇心旺盛で、謎に直面したりする度に「わたし、気になります」という決め台詞とともに奉太郎に詰め寄ります。
その距離感すら忘れてしまうような夢中さ、それと対照的な反応をしながらも千反田に巻き込まれる奉太郎の様子が全編通して面白いです。
54位 砂の器/松本清張
蒲田駅の操車場で東北弁を話す男の死体が発見されます。
刑事の今西は、被害者と犯人が発していた”ある言葉”を頼りに事件の真相を追っていくことに。
徐々に被害者の身元、人柄、過去が少しずつ分かりだしても、なお手がかりが掴めない中、さらに殺人は続きます。
今西刑事が足で探しだした事件の糸口は一つ一つゆっくりと見えてくるものですが、最後の場面ではスカッとさせてくれるのです。
ある言葉と東北弁によってはじめは翻弄された事件ですが、これにより思わぬ展開に発展するのが面白いおすすめ小説。
53位 のぼうの城/和田竜
秀吉に命じられた石田三成によって水攻めにされた忍城を「のぼう」と皆から呼ばれていたアホの殿が知恵で救います。
この決戦をうまく決着させるために考えた案は、戦国時代では奇妙なもの。
殿が戦場で命がけで水攻めにされたその湖で船で腰踊りをする場面は、緊迫感があります。
映画では野村万作さんの圧巻の舞で表現されていました。
52位 何者/朝井リョウ
就活生の拓人は、同じく就活を控えた4人と共に就活対策本部で定期的に情報交換を行っていた。
それぞれのやり方で、就活に取り組み、内定をもらった者もいれば、うまくいかない者もいる。
そんな中で、5人の人間関係も変わっていき、それが自分を見つめ直すきっかけになるのだ。
就活生の苦悩を描くストーリーかと思えば、それぞれの人間関係が複雑に交差します。
また、Twitter上でつぶやかれる本音や見栄なども面白い。
現代のツールであるTwitterを取り入れた物語の展開が非常に身近で共感できます。
就活をしたことがある方なら共感できる超おすすめの小説です。
51位 サラバ!/西加奈子
主人公の歩は、父の転勤でイラン・日本・エジプトと引っ越しを重ねます。
両親の離婚や4歳年上の変わり者の姉に振り回されてつつも成長していく姿が応援したくなるのです。
恵まれたルックスで友人関係も恋愛も苦労せずに人並み以上にこなしていくも、どこか満たされない日々を送ります。
一人の少年の成長を読んでいると、いつの間にか自分の幼少期を追体験しているかのような気持ちになり、いつの間にか引き込まれていました。
歩と自分は全く違うのに、なぜか深く共感するんです。
人格形成にいかに家族が影響するかを教えてくれるおすすめの小説。
面白い小説おすすめランキング 41~50位
50位 八日目の蝉/角田光代
不倫相手の男性の赤ちゃんを盗み、逃亡しながら育ててゆくというありえないストーリー。
世間から隠れながらも、時に宗教団体に入り身を隠し、子供を我が子のように愛情かけて育てます。
子供も女を母親だと思い、慕うのです。
逃亡の末、女はとうとう捕まるが、子供との別れが本当の親子のようで心が痛くなり涙が止まりません。
それから、犯人に育てられた子供の苦悩が描かれていきます。最後にまた涙が止まらなくなるでしょう。
号泣必須のおすすめ小説ここにあり。
49位 しあわせは子猫のかたち/乙一
主人公は不器用で人付き合いの苦手な「ぼく」。
人と関わることを最低限にするため、一人暮らしを始めます。いざ住み始めてみるとそこには先住者が。
それは1匹の小さな子猫と、姿の見えない少女の幽霊でした。
ひっそりと生活したい主人公のぼくと幽霊の話と言うと、とても暗く感じそうですよね。
でも、すごく感情移入しやすく読みやすい小説なんです。
少し人付き合いに疲れたなと感じた時に読むと、本を読み終わって閉じたと同時に靴を履いて外へ駆け出したいほど晴れ晴れとした気持ちになること間違いなしです。
48位 すべて真夜中の恋人たち/川上未映子
校閲の仕事をしている冬子と三束さんのじれったく、少し寂しさをかんじる恋愛小説。
冬子の一人称で物語は紡がれてゆきます。
言葉と向き合う仕事をしているからか、冬子の語りはひとつひとつがとても丁寧で、読んでいくと綺麗な文章が脳に染み込んでいくようで心地よかったです。
この作品はお笑いコンビ爆笑問題の太田光に「美しい表現はもはや言葉の芸術」と絶賛されました。
珠玉の言葉の数々は、読者をうっとりとさせてくれるでしょう。
47位 チア男子/朝井リョウ
チアリーディング初心者の男子大学生が、仲間を集め結成した男子だけのチーム「BREAKERS」
育った環境も性格も違う彼らが、チームとして成長する姿を描く青春ストーリー。
この小説のみどころは、個性豊かなキャラクターが混ざり合い、一つのチームとして高め合っていく姿です。初心者が多い為、挫折の連続ですが、めげずに挑む彼らの姿は、感動ものです。
46位 総選挙ホテル/桂望実
売り上げが落ち込む中堅ホテルを救ったのは、急遽社長の座に就くことになった変人の大学教授だった。
彼が提案したのは、従業員の総選挙。
従業員同士で投票し、落選すれば解雇されるという危機的状況!!!
そんな状況で、従業員の勤務態度は、どう変わっていくのか。
この小説のみどころは、大学教授の奇想天外な提案から従業員たちは混乱しながらも、新たなやりがいを見つけていくところです。
選挙によって、配属された部署は、予想外のものであったりするが、実はそれが適材適所な場所であることに気づいていくのもまた面白い!
ビジネスマンや経営者におすすめの小説。
45位 変身/東野圭吾
主人公の成瀬純一は平凡な青年でした。
とある事件に巻き込まれ、頭に他人の脳を移植されるまでは…
東野圭吾の小説ですが推理小説ではなく、脳移植を受けた主人公の精神状態の移り変わりをぞっとするほど恐ろしく描いています。
他人の一部(それも脳)を移植された主人公が、少しずつ、だけど確実に変わっていくのがとても怖いです。
ラストまで一気に読んでしまうほど、ひきつけられる個人的には超おすすめ小説です。
44位 手紙/東野圭吾
主人公、武島直喜の兄、剛志は弟の大学費用を捻出するため、盗みに入った家で人を殺してしまいます。そんな獄中の兄と、犯罪者の兄を持ち現実で生きている主人公の手紙を軸に物語が展開。
重たくつらい現実が主人公を幾度となく襲います。獄中で変わらず弟に手紙を書き続ける兄は、とてもやさしい人間でした。
それゆえ犯した罪の大きさはどうしようもなく、全編通してとても切ない内容になっています。
ですが、暗いだけではありません!読んで損のない、心に残るラストシーンは必見です。
43位 本所おけら長屋/畠山健二
江戸時代を舞台にした小説。
おけら長屋の個性豊かな住人たちが毎回騒動を巻き起こします。
住人たちはお節介で情に厚い人間ばかりで、どんな大変な事件も最後は温かく笑える結末になるのです。
まるで落語を聞いているかのような面白い小説。
文章は台詞が多めで、ボケやツッコミも多いので笑わされます。
しかし、起こる事件は意外と重い。
住人のお染が以前盗賊の情婦だったり、ウイルス性の病にかかった女医を助けるために奔走したり。
これらのどうにもならなそうな事件も、お節介な住人みんなで解決し、ハッピーエンドになるところが好きでした。
42位 みをつくし料理帖/髙田郁
江戸の料理屋「つる家」の女料理人、澪が料理の腕だけでつる家を盛り立てていく。
幼馴染の野江が、吉原であさひ太夫として生きていることを知った澪は、野江を身請けすることを決めます。
とにかく澪の作る料理が美味しそう。
巻末にレシピもあるので実際に作ることもできます。
つる家が家事で焼けたり、ライバルの登龍楼に料理を真似られたり、様々な困難に合いますが、澪は卑怯な手を使わずに自分の料理の腕だけで解決していくところが良い。
武士の小松原への片思いも、読んでいてときめきます。
41位 肩ごしの恋人/唯川 恵
20代後半女子2人のそれぞれの物語。
性格も考え方も全く違う2人なのですが、幼い頃から友人で今も仲良くやっているように見えます。
しかし、実は心の中では、それぞれの思いが煮えくり返っているのです。
いつの時代も女同士ってめんどくさい。
女性同士の嫉妬や醜い感情を垣間見たい方におすすめの小説。
面白い小説おすすめランキング 31~40位
40位 精鋭/今野 敏
警察官として働き始めた柿田は悩んでいました。研修期間として様々な部署を経験していく中で、何が正しい事なのかがわからなくなっていたのです。
悩みとは、警察官としてのあるべき姿や、犯罪のボーダーラインなどについてでした。
そんな悩みを抱えている時に来たのがSATへの入隊。
厳しい訓練を受けていく中で柿田は、人としても、警察官としてもたくましくなっていくのです。
主人公の柿田が本当に純粋。
純粋すぎて思わず応援してくなるでしょう。
今作品は、物語自体に大きな波があるわけではありません。
本当に柿田の心の変化を中心に進んでいきます。
なので、物語全体は静かだけど、どこかで男臭く、熱く面白い小説です。
39位 流れる/幸田文
ある日落ちぶれた芸者置屋に住み込み女中として働かせて欲しいという、40過ぎの未亡人が尋ねてきます。
梨花と名乗る未亡人は、掃除洗濯など家事だけでなく、小唄が分かり、文字を書けば相手をうならせる教養のある女性でした。
梨花が住み込みで働きながら、芸者の生活や風習などを垣間見ることで、芸者という華やかな世界の影を淡々と綴ってあります。
中でも芸者さんは皆おひとりさまで、一緒に住んでいても馴れ合いにならずに自立した生活を送っているところは読みどころです。
38位 ラブレター/岩井俊二
中山美穂さん主演で映画化された小説。
雪山で恋人を失った主人公藤井樹が、死んだ恋人の昔の住所に思いつきで手紙を出したら、返事が来てしまったところから物語が始まります。
その住所は道路になっているし、恋人は死んだことには変わりない。
そこから不思議な文通が始まります。死んだ恋人は本当に自分のことが好きだったのか、だれかの代わりじゃなかったのか、主人公の切ない気持ちが淡々と綴られています。
37位 お待ちしてます /下町和菓子栗丸堂
甘味処兼和菓子屋である栗丸堂は、下町にあるどこか懐かしいお店ですが、店主は最近跡を継いだばかりの若者です。
訳あってこの若さで跡を継ぐことになったのですが、これがなかなか大変!
職人としての腕は確かだが、それだけではうまくいかないのが老舗の経営。
そんなある時、和菓子について尋常じゃない知識と舌を持つ女性が現れます。
この女性の力を借り、栗丸堂の前店主であり父の味を再現するべく奔走することに。
36位 クリスマスに少女は還る/キャロル オコンネル
過去に主人公の妹がさらわれ殺されるという事件があり、そのトラウマから逃れられず苦しむ主人公。
成人し、刑事になった主人公はある事件を担当することになります。
それは二人の少女がさらわれ行方不明となったいう事件。
犯人は一体誰なのか、刑事仲間と協力し犯人を徐々に追い詰めるうちに数々の真相が暴かれていくというストーリーです。
この本はタイトルが秀逸です。
初め見たときは変わったタイトルだとしか思わなかったのですが、読み終えた時にタイトルの意味が分かり大変衝撃を受けました。伏線もいくつかあるのですが全て回収されます。二人の少女の友情に涙があふれて止まらなくなりました。
読み終えてだいぶ経った今でもあらゆる場面が思い起こされます。
犯人が分かるまでの過程も丁寧に描きこまれており読んでいて飽きません。
これまで多くの本を読んできましたが、ここまで心を打たれた本は初めてです。
この本は私の心の中から消えることは一生ないと思います。
35位 ありふれた愛じゃない/村山由佳
真珠の買い付けに訪れた出張先のタヒチで昔の恋人に再会した主人公。
日本では、仕事もプライベートもそれなりに充実していたが、情熱的だった昔と変わらない元彼に急速に惹かれていく・・・といったストーリーです。
ありがちな恋愛小説だと思うものの、南国タヒチの熱気、登場人物の情熱、主人公の内面にくすぶる押さえつけていた情熱が湧き出てくるので、ぐんぐん読み進みます。
若いころの恋愛を思い出し、女性なら一度はこんな恋をしてみたいと思うおすすめ恋愛小説です。
34位 風に舞いあがるビニールシート/森 絵都
6編からなる物語で、それぞれの物語にはそれぞれが想う大切なものが込められています。
パティシエの物語、フリーター学生の物語、仏像修理の物語、社員の物語、難民問題に挑む物語など数々の物語が織りなす作品です。
日々の中で忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる物語でもあります。
読み終わった後の爽快感と感動が素敵な小説です。
33位 二十歳の原点/高野悦子
作者である高野悦子が大学2、3年だった1969年1月2日から6月22日までの、学生生活を中心に書かれています。
思い描く理想と現実とのギャップによる葛藤、生と死が揺らぐ思い、青年期独特の悩みや、起こる出来事が、
悦子の鋭い感性で日記や詩という形で描かれています。
年代が違い、起こる出来事は現代では理解しにくい部分がありますが、悦子の頭の良さや純粋さが伝わり、亡くなる2日前の日記まで描かれているため、とてもリアルに心情が描かれているのです。
32位 アンダーグラウンドマーケット/藤井太洋
近未来の日本で、課税されない仮想通貨N円を使い、地下経済圏での生活をしている若者たち。
仕事を引き受ける中、とある事件に巻き込まれていきます。その事件の真相とは?
今の仮想通貨が、広く使われるようになった近未来の小説ですが、仮想通貨での飲食店などでの決済や課税の関係から、生活圏が地下にも広がっています。
まだ、法整備が整ってないなど、今の仮想通貨の次のステップが見て取れるように感じることでしょう。
小説の中での、飲食店での決済などは、いずれこうなるだろうと感じさせる部分ですが、やはり課税の問題、決済時のトラブルなど便利になる部分と影の部分が見て取れて、読むにつれてその世界観に引き込まれていきます。
そう遠くない未来が、この小説の中にあるのではないでしょうか?
31位 彼女は一人で歩くのか?/森博嗣
物語の舞台は、ウォーカロン(walk-alone=単独歩行者)と呼ばれる人工細胞で作られた生命体と、人間とが共存する世界。研究者であるハギリ博士は、心当たりがないまま何者かに追われることになる。その理由は、博士のウォーカロンに関するある研究に関することだとわかる。
人間との差がほとんどなく、識別が難解なウォーカロンと人間とが生きる世界で、果たして人間性とは何なのか、生きるとはどういうことなのか、考えさせられる小説。
読後の感想は「衝撃と創造性」でした。
森博嗣さん、本当に底なし沼のような発想の持ち主です。
SFというか、近未来的というか、決して現実ではない、ありえないのに、なぜだか想像ができてしまう面白い小説でした。
面白い小説おすすめランキング 21~30位
30位 王妃マリーアントワネット/遠藤周作
フランス革命に巻き込まれた幼い王妃マリーアントワネットの悲劇の物語です。
ほとんど「ベルサイユのばら」とストーリーは変わりません。
遠藤氏の緊迫感ある切れのある文章で、小説として楽しめます。
29位 でも女/群ようこ
専業主婦とワーキングウーマン。
平凡な家庭を持つ兼業主婦と隣に住む美しい専業主婦。
といった対比が見事です。
対象的な二人の女だが、同じ環境にある二人の女の考え方の違い・行動の違いなどが愉快に描かれています。
最後の「お茶の味」は生涯独身であろう女のお話ですが、独身パラサイトの覚悟がわかるお話です。
28位 恋空/美嘉
携帯を拾ってもらったことから出会ったミカとヒロの純愛小説。
全くタイプの違う男女が惹かれ合い同じ人生を歩むことを決意しますが、2人を運命が引き裂きます。
しかし、運命のいたずらが再び2人を結ぶのです。2人が選ぶ道と2人の人生に必ず涙する小説。
何度もこの本を読み返しましたが、何回読んでもミカが笑うシーンに涙します。
こんな純愛してみたいと心から思える恋愛小説です。
27位 SPEED/金城一紀
家庭教師の死をきっかけに、不正や悪に立ち向かうことを決意した女子高校生のお話。
同じ著者のレヴォリューションNo.0に出てくるおなじみのメンバーも活躍します。
女の子が主役ですが、男性にこびたりせず、まっすぐな性格をしていてとても魅力的です。
男の子にまじってトレーニングするシーンや復讐をはたすシーンなどはスカっとし、読後感が爽やかな小説。
26位 阪急電車/有川浩
彼氏を寝取られたOL、彼氏からの暴力に悩む女子大生、進路に悩む女子高生などが主人公。
阪急電車の車内で会った人たちとの人間模様や、心情をオムニバスで描いた小説。
電車でたまたま会った、いわば行きずりの人との関わりに焦点が当たっていることに面白さが
あります。
電車に乗っているとき、知らない人に話しかけることってなかなかありませんよね。
でも、この物語の中では遠慮せず話しかけます。そしてアドバイスもするのです。
あまり知らない人であるからこそ、話せることもあるのかなと改めて気づきました。
阪急電車は関西で実際に走行しているので、足を運ぶのも楽しいかもしれません。
25位 ブランコ乗りのサン=テグジュペリ/紅玉いづき
カジノ特区に作られた少女サーカス団がこの物語の舞台。
曲芸子である少女たちは、古き文学者の名を冠して舞台に立ちます。
サーカスの花形である空中ブランコ乗りの8代目サン=テグジュペリを務める片岡涙海(るう)が、練習中の怪我で足が動かなくなり舞台に立てなくなったとき、身代わりで舞台に立ったのは双子の妹の愛涙(える)でした。
才能がぶつかり合い嫉妬と羨望がうずまく世界で生きている少女たちは強くて美しいです。
怪我のせいで舞台に立てなくなった涙海がくだした決断を目の当たりにしたとき、彼女の芸に対するストイックさに、思わず拍手をおくりたくなりました。
まるで心を高揚させるサーカスを見終わったような、心地よい満足感を味わえる素晴らしい読後感でした。
24位 壬生義士伝(上・下)/浅田次郎
南部盛岡藩の脱藩浪士で新選組隊士である吉村貫一郎を主人公にした歴史小説。
鳥羽伏見の戦いで傷ついた貫一郎が逃げ込んだ大坂の盛岡藩蔵屋敷にて命乞いをするも、潔く切腹するよう説得されます。
何故そのような最期を迎えたのか、吉村貫一郎の生涯を知りたくありませんか?
とにかく泣けます。大号泣してしまうでしょう。
家族を養うために新選組に入った貫一郎は、守銭奴・出稼ぎ浪人と嫌味を言われながらも一生懸命勤めを果たします。
一見いやしくも思えますが、そこには貫一郎の愛と義が詰め込まれているのです。
上下巻の大作ですが、一気に読み終えてしまうくらい展開が気になり、読了後の余韻が半端ない小説。
23位 剣客商売/池波正太郎
シリーズ全16巻の時代小説です。
無外流の達人・秋山小兵衛と大治郎親子とその家族を中心とした物語。
御用聞き弥七や、その手下の徳次郎の力を借りながら様々な問題を成敗、解決していきます。
シリーズ通して時代の流れは繋がっているものの、お話自体はほぼ1話完結なので、16巻という超大作ではありますがとても読みやすいです。
そして「絶対善」というのか、悪者をスパッと成敗してくれるので、読んでいてとても爽快な気分になります。
小難しい時代小説はちょっと、と手を出さずにいたらもったいないです。とても読むことをおすすめしたい小説です。
22位 北条政子/永井路子
鎌倉幕府初代征夷大将軍である源頼朝の妻・北条政子を題材にした歴史小説。
一般的に抱かれている「尼将軍」とは違う、女性としてどう生き、どう時代に翻弄されていったのかという視点で政子像を描いています。
歴史に埋もれがちな女性にスポットを当てた作品が多い永井路子さんが、歴史上とても有名な尼将軍・北条政子を題材にした作品です。
策略や謀略ではなく、女性として、母としての決断の結果が、今残っている歴史となっているというのは、ある意味で新鮮な政子像と言えると思いました。
娘である大姫とお婿さんの木曽義高の悲恋を、母の視点で描いているシーンが特に印象的でおすすめです。
21位 豆の上で眠る/湊かなえ
幼い頃行方不明となり、2年後に戻ってきた姉は、大好きな姉ではなく、見知らぬ少女だった。
大学生になっても消えることのない違和感。衝撃の結末が待っている姉妹ミステリー。
見知らぬ少女を姉だと受け入れている父と母、DNA鑑定、犯人の自供、謎だらけのストーリーに、結末が気になって、一気に読んでしまいました。
そして、期待を裏切らない結末。さすが、湊かなえさんの小説。
夢中で本の世界に没頭してしまうことでしょう。
面白い小説おすすめランキング 11~20位
20位 ねじまき鳥クロニクル/村上春樹
村上春樹ワールドが炸裂している不思議な物語。
妻クミコと穏やかに生活していた 僕 は妻を失ったと同時に妻の抱えていた病み部分の世界に引き込まれて行く。
そして、ようやくその世界へ行く方法をみつけて…
細やかに描かれた日常が別の世界と交差していて、パラレルワールドがリアルでもある作品。
19位 シーラという子/トリィ ヘイデン
世界的にベストセラーになった実話。
アメリカにおける貧困やドラックによる子供の虐待。
逃れるすべのない子供達。トリィ ヘイデンの助けによって未来を勝ち取る事のできた子供達や季節労働者。
考えさられるノンフィクション小説です。
18位 白ゆき姫殺人事件/湊かなえ
しぐれ谷で三木典子という女性が殺されます。
同僚の城野美姫は行方をくらましており、容疑者と疑われることに。
そんな事件について記者の赤星が関係者にインタビューした内容が書かれた小説。
三木典子は美人で優しい完璧な女性で、城野美姫はそれに嫉妬しているように感じます。
しかし、終盤で三木が嫌な人間だったことがわかるのです。
人の証言は真実とは食い違う
そんなことを痛感させられた小説。
17位 ポイズンドーター・ホーリーマザー/湊 かなえ
傍から見ればきちんとした親に育てられた子供が、犯罪者になったり犯罪者のスイッチを押したりする話が書かれた短編集。
短編ですぐに読めるのでサクッと小説を読みたい方におすすめです。
16位 花の鎖/湊かなえ
祖母の胃癌の治療費に困窮する梨花、子供を授からないことに悩む美雪、大学時代の友人希美子から夫を助けてほしいと頼まれた紗月の3人の女性の物語。
最初は3人の女性それぞれの独立した話でしたが、読んでいくうちに話がつながっていきます。
何度も読みたくなる小説です。
15位 告白/湊かなえ
生徒に子供を殺された教師が淡々と冷静に犯人の子供たちに復讐する話。
誰がどのように子供を殺したのか
犯人の背景などが綴られる小説だと思って読んでいたら大間違い。
子供を殺された担任の仕返しが怖いくらいあざやかなのが見どころです。
14位 It(それ)と呼ばれた子/デイヴ·ペルザー
主人公が虐待されてしまう物語。
初めは家族で幸せに暮らしているようでしたが、主人公の男の子だけが母親に虐待を
されるようになるのです。
でも、男の子は母親のことを嫌いにはなれず、どんなに酷いことをされても逃げなかった。
父親も、母親が怖くて見て見ぬふりをしています。
想像もつかないような酷い行為に、読んでいると心が苦しくなります。
時が経つにつれて、逃げだすこともありますが、ばれたら連れ戻されうのではないかとハラハラドキドキ。
幼少期~青春期までありますが、男の子の成長やこれからこの子はどんな風になってしまうのか読めば読むほど気になっていきます!
母親が子供に虐待をしてしまうことに疑問をもちますが、これを読んで自分の子供には絶対に手をあげないでほしいと強く思うことでしょう。
13位 希望の地図 3.11から始まる物語/重松清
不登校の主人公光司は、父の知り合いのライターである田村とともに、東日本大震災後の
東北地方へ取材に行くことになります。
震災から半年たった被災地で復興に取り組む人たちに出会たことで・・・
作者が実際に東北へ足を運び取材したものが書かれた、ドキュメンタリー小説。
震災が起きて半年後が舞台ですが、そのとき、すでに復興を目指す「希望」をもった人がいたこと、そしてそれが1人ではなかったことを知りました。涙がこみ上げずにはいられない作品でした。
震災を知っている、体験しているからこそ読んでほしいおすすめ小説。
12位 遥かなる水の音/村山由佳
遺骨はサハラ砂漠にまいてほしいという青年の遺言を叶えるためモロッコへと旅に出る。
青年の家族、友人、同居人はそれぞれの事情を抱えながらも、青年の死とその旅を通して互いに寄り添っていきます。
フランス、スペイン、モロッコそしてサハラへと続く旅の情景や美しさが目の前に広がるように描かれています。
ともに旅をしながらも折り合えない登場人物の人間性や心情にも感情移入できるでしょう。
11位 壁/ジャンポール・サルトル
ある国で内乱が起こっていたころ、主人公が敵側に拘束され、敵側が探している人物の居場所についての尋問を受けます。
居場所を言わないと死刑になるが、主人公は本当に人物の居場所がわからなかったため、でたらめの場所を告げました。
しかし、そこは実際に当人がいた場所だったのです!!!
主人公が該当者の居場所をわからず、口から出まかせの場所を告げ、死刑を覚悟したシーンがあり、冬なのにシャツ1枚でびっしょり汗をかくシーンがありました。
最後のページで、釈放となった箇所も解放された安心と仲間が捉えられた不安感が混在する本人の気持ちが印象的でした。
面白い小説おすすめランキング 1~10位
10位 首飾り/ギ・ド・モーパッサン
主人公がパーティに参加することになりましたが、貧乏であったので、金持ちの女性から高価な首飾りを借ります。
ところがその首飾りを紛失してしまい、多額の借金をして同じものを購入し、返しました。
何年もたったある日主人公がその金持ちの女性と偶然合って、借りた首飾りがまがい物で二束三文の価値しかないことがわかるのです。
貧乏な人は、金持ちがまがい物は持たないと信じているという発想であり、皮肉交じりの考えで大変面白いと感じました。
特に首飾りを借りた女性が借金のためにやつれてしまい、事実を知った金持ちの女性が主人公に憐れみを感じたところが印象的でした。
9位 東京百景/又吉直樹
芸人である作者が、東京の各所を舞台に自身の思い出をつづったエッセイ集。
百景というタイトルの通り、100のエピソードが描かれています。
火花を出す前に出された本ですが、何と言ってもテンポが良い。
短いエッセイが続くので、サクサク読めます。
そしてエピソードの多さ、内容の濃さが、ずるいです!!
ついクスッと笑ってしまいます。
8位 さくら/西加奈子
過去のある出来事をきっかけに実家から離れていた主人公・薫が帰郷し、家族の過去を振り返る所から始まる物語。
尊敬する兄・一と破天荒な妹・美希、そして両親とのかけがえのない思い出と、ある時起きた残酷な出来事。
壊れた家族が再生していく様子を描いた、心温まるお話。
初めて読んだ時は、こんなにも面白く馴染みやすい表現で、これほどまでに読む人の心をえぐる話があるのかと驚かされました。
過去の家族の思い出が温かく、登場人物一人ひとりに愛情を感じられた中だからこそ、起きてしまった残酷な出来事は読んでいて本当に心が痛みました。
ラストの家族がそれぞれの胸の内を語るシーンでは号泣必須。
7位 肉体の学校/三島由紀夫
裕福で自由な生活を謳歌している、独身の成金女3人組。
それぞれの仕事は、映画や服飾の評論家、レストランオーナー、ブティック経営者と、実に華々しい。
日々仕事をこなしつつ、カッコよく男遊びする女たち。
そのうちの一人が、ニヒルで美形のゲイボーイに心底惚れ込み、溺れていくが…
気づいたら一気読みしていた作品です。
気怠い30代後半女性の、生命力溢れる生き様が描かれています。
自分を見失うほど年下男との恋に夢中になるが、プライドも捨てられない。
右往左往しながら相手に尽くすピュアな姿に、共感する女性も少なくないはず。
ラストがかっこいい。本能的で甘ったるく、優しくない恋愛小説。
女の強さ・すごみを思い知らせてくれる、お洒落でモダンな作品です。
6位 酔いがさめたら、うちに帰ろう。/鴨志田穣
故鴨志田穣氏の自伝小説です。
アルコール依存症で連続飲酒をしては、吐血して救急車で運ばれる事を繰り返す主人公が、アルコール依存症の治療病院に入院してリハビリテーションを受けるお話。
入院中の同じ病気の患者さんとの治療回復生活をコミカルに描写してあります。
アルコール依存症が原因で離婚した家族とのふれあいや、自分が元妻にふるった暴力なども生々しく書いてあり、アルコール依存症の啓発本としても読める小説です。
5位 アルケミスト/パウロ・コエーリョ
羊飼いの少年サンチャゴは、ある日見た夢を信じ、エジプトのピラミッドへと隠された宝箱を探す旅に出かけます。
小説でありながら、夢を信じることの重要性、自分で道を選ぶことの大切さを学ぶことができる冒険活劇となっています。
4位 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック
アンドロイド専門のバウンティハンター、リックは逃げ出した最新型アンドロイドにかけられた莫大な懸賞金目当てに仕事に出ます。
アンドロイドとはなにか、人間との違いはなんなのかを深く考えさせられるお話です。
人工知能が注目されている今、ぜひ読んでおきたいSF小説です。
3位 西の魔女が死んだ/梨木香歩
中学校を登校拒否していた女の子、まいは西の魔女と呼ばれるおばあちゃんの家で過ごすことになりました。
そこでまいは魔女になるための修行を受けます。
生き方や、幸せを自分で決めていくこと。
このことはおばあちゃんの時代にも、まいの時代にも変わらず大切な考え方であるということを気付かせてくれる、心温まるお話。
2位 きらきらひかる/江國香織
「冷静と情熱のあいだ」などで知られる江國香織さんの作品。
新婚夫婦である笑子と睦月のちょっと変わった夫婦生活が描かれたお話。
笑子は情緒不安定でアルコールが絶てない、睦月はゲイで学生時代より付き合っている恋人(男)がいるといった、所謂普通の夫婦、という関係ではありません。
夫婦生活もしておらず、肉体的な接触もほとんどありませんが、読み進める内に、二人はちゃんと夫婦で強く思い合っているという所が痛々しいほど切なく感じます。
紡がれる言葉がとても美しく、「きらきらひかる」というタイトルがぴったりなお話です。
1位 植物図鑑/有川浩
ある日捨て犬のように現れたイケメン・樹(イツキ)とのいきなり始まる同棲生活。
万能主夫で植物に詳しい樹ですが、そのこと以外何も知らされていない主人公との恋の行方が気になります。
突然現れた草食系男子との同棲生活という女の子憧れのシチュエーションにもキュンキュンしますが、植物を通した季節の移り変わりや思わず料理してみたくなる野草料理の数々も楽しく、新鮮な切り口だと思いました。
映画化された俳優さんは少し小説のイメージと違っているので、是非映画より前に読んでほしいです。